1:2020/01/09(木) 09:49:36.19ID:RfL8k+vP9 1億2000万ユーロの金に目がくらみ、フォーマットを変更するとともに開催地をサウジアラビアへと変更したことで、一時“宙ぶらりん”状態となったスペインスーパーカップ。人権が十分に尊重されず女性への差別が残っている国だからと政府が疑問視し、国営放送も民放も中継を諦める事態となったのだ。
最終的には有料放送での中継が決定したものの、各方面から非難の声が噴出していた背景を伝える。
昨年11月11日、スペインサッカー連盟(RFEF)がスーパーカップのフォーマット変更とサウジアラビア開催を正式発表した。同カップ戦は伝統的にリーグ王者とコパ・デルレイ王者の間で8月にホーム&アウェイで争われてきたが、その存在意義が揺らいでいたのは確かである。例えば、昨季はバルセロナ対セビージャの対戦だったが、そもそもリーグ戦とカップ戦の覇者バルセロナにコパ・デルレイ決勝で0-5と大敗したセビージャをぶつけて何を決めようというのか?という疑問があった。しかもバルセロナが大金を稼げる親善試合の契約を結んでいたせいで日程が取れず、中立地モロッコで一発勝負という訳のわからないことになっていた。
そこでRFEFがひねり出したのが、リーグ戦の2位、3位の2チームを加えた4チームでのトーナメント戦という新フォーマット。これで2020年の分については1月8日の準決勝第1試合でコパ・デルレイ王者バレンシアとレアル・マドリーが対戦、9日の第2試合でリーグ王者バルセロナとアトレティコ・マドリーが対戦し、勝者が12日に決勝を戦う。
この変更が海外開催を前提としていたのは明らかだ。一発勝負なら中立地しかないし、4チーム参加にしたことで2強枠はほぼ確保。20年から3年間の開催権を競り落としたサウジアラビア側も、2強の参加が決め手だったと認めている。連盟の懐には1年で4000万ユーロ、3年で計1億2000ユーロ(約144億円)が入り、半分が4チームで分配、残りはアマチュアと女子サッカー振興に使われるという。
「平等のスーパーカップ」という理屈
が、サウジアラビア開催には批判の声が相次いだ。
アムネスティ・インターナショナルは公式WEBサイトで「サウジアラビアには人権侵害の歴史がある。女性は差別に苦しみ、表現の自由は制限され、イエメンの戦争に参戦し、●刑と拷問が広く採用されている」という同団体スペイン局長のコメントを含む、公開書簡をRFEFに突きつけ開催地変更を求めた。
女性差別について付け加えると、同国で初めて女性がサッカースタジアムに入ったのは2018年1月のこと。が、男女混合ではなく女子席での観戦だった。今回のスーパーカップでは、スペインの女性は自由な服装で男女混合の席で観戦できることが、RFEFからもサウジアラビア側からも発表されている。近年同国の民主化が進んでいるのは確かで、15年12月に女性に初めて選挙権・被選挙権が与えられ、18年6月からは女性の車の運転も認められている。だが、サウジアラビアの女性がスペインの女性同様にスタジアム内を自由に動いて男女混合席で見られるかどうかは、蓋を開けてみないとわからない。
こうした声に対して、ルイス・ルビアレスRFEF会長はこう反論した。「世界には不平等がある」「男性に生まれることと女性に生まれることが同じではない国もある」と認めた上で「我われが平等の洪水で満たすことで変化に貢献することができる」とし「これは男女平等のスーパーカップである」と結論付けた。むしろ差別があるからこそその国へ出かけて行き、サッカーの力を借りて解消のために貢献しよう、という理屈である。
確かに、奔放なスペインの女性があちらのスタジアムで自由に振る舞うことは一種のカルチャーショックにはなろう。だが、正月休みの後で旅費と滞在費で1000ユーロ以上(約12万円)の出費が見込まれるとなると「平等の洪水」とはならないだろうし、何より連盟がサウジアラビアを選んだのは大金のせいであって、人道的な理由は後付けに過ぎない。